ベースとドラムでグルーヴを作るのが肝だと思い、ベースとドラムの噛み合わせを常に試行錯誤しています。音が鳴らない瞬間も大事なので、無音というのもひとつの音だと意識しながら音を引いていったりしてます。
BGP:
BEATGRAND PRIX 2017 vol.2優勝は QUNIMUNEになりました。
まずは優勝した今の率直な気分をお聞かせください。
QUNIMUNE
vol.0から3年続けて参加してやっと掴めた優勝なので本当に嬉しいです。
BGP:
決勝では、ラストの曲はかなりのメロウなロービートでした。
これで決める、って感じで使ったのですか?
QUNIMUNE
そうですね。ラストは自分のコアな部分が出てるような曲をかけようと思いその曲に決めました。
BGP:
なるほど。決勝に限らず選曲やその順番について意識していたことを聞かせてください。
QUNIMUNE
ざっくり全部の曲順は考えていていましたが、全て先行だったので一曲目は雰囲気を作ることを、二曲目は強めの曲を意識して選曲しました。試合中に相手の曲を聴いてかける曲を変更した時もありました。
BGP:
奥深いですね。それもビートグランプリの醍醐味だったりしますね。
では話は変わって楽曲制作についてお伺いいたします。
普段のトラックメイクの環境を教えてください。
企業秘密なら強制ではありませんが(笑)。
QUNIMUNE
ableton live suite 9で打ち込みとオーディオ録音や編集してて、serum、keyscape、kontakt、korg legacy
collection、dexed、ableton付属のシンセなど、
ベースはtrilian、massive等で、ドラムは自分で集めたサンプルやkick2を使ってます。
生楽器はローズのエレピやフェンダーのギター、リッケンバッカーのベース、鉄琴、トークボックス等を演奏して録音してます。
音をまとめる時はFORMAのVUメーターでレベルを見ながら、UAD-2、Waves、FabFilter等のプラグインを使ってYAMAHAのMSP5studioでモニターしてます。
BGP:
そうなんですね!
QUNIMUNEのトラックは非常に繊細な世界観が感じられるんですが、トラックメイクにおいて何か気を付けていることやこだわりなどを数点あれば教えてください。
これまた企業秘密な部分は除いてもらっていいので(笑)。
QUNIMUNE
イメージしているコードやメロディをまず作って曲の全体像を作ったあと、そこから一気に低域に潜るようにベースやキックなどから順番に積み上げる様に作っていきます。ベーシストあがりなので、ベースやサブベースは気にしてしっかり作り込むようにしてます。
シンセはプリセット使うより自分で音づくりした方がイメージする音になるのでいちから音を作る事が多いです。
BGP:
今回のビートグランプリを見てトラックメイクを始めたいと思っている人が少なからずいると思います。
どうすればQUNIMUNEの様にかっこいいトラックを作れるのでしょうか?
QUNIMUNE
僕もまだまだ研究中ですが、ベースとドラムでグルーヴを作るのが肝だと思い、ベースとドラムの噛み合わせを常に試行錯誤しています。音が鳴らない瞬間も大事なので、無音というのもひとつの音だと意識しながら音を引いていったりしてます。
BGP:
ありがとうございます!
QUNIMUNEのトラックを聴いているとそこはかないバックグラウンドを感じます。
普段はどういう音楽を聴いていますか?
またフェイヴァリットなアーティストは誰ですか?
QUNIMUNE
Hip Hop、G-funk、P-funk、R&B、Jazz、New Jack
Swing、A.O.R、初期のDubstep、Grime、2step、UK garage、Rock
Steady、キューバ音楽やサルサ、ブラジル音楽、マージービートやモータウンなど新旧問わず聴きます。一番好きなのはビートルズです。
BGP:
へえ!そうなんですね!
あともう一個わがままで、QUNIMUNEが影響を受けた楽曲や作品(アルバム)を何枚かあげてもらいたいです。
QUNIMUNE
音楽ではないんですが、楳図かずおのわたしは真悟、北野武の初期の映画、デビッドリンチのツインピークスなどの作品に影響受けてます。作中に出てくる風景にもインスピレーションを受けます。
曲の素晴らしさもそうですが、バンドで一発録りかと思いきや一人のプロデューサーがabletonにパートごと一つずつ演奏して録音していることも衝撃でした。
Childish Gambino – Redbone
サブベースがクリーンなサイン波だと思うのですがローエンドの出音が素晴らしいです。
Mura Masa – …Girl
トークボックス、ボコーダーなど声と機械が融合するとなぜかファンクネスを感じるのでそういう音が入ってる曲は基本的に好きです。
History of Talkbox,Vocoder and Autotune
BGP:
QUNIMUNEの現在の活動、今後の活動に関してお聞かせください。
QUNIMUNE
Haloez(へイローズ)というレーベルを立ち上げたのですが、3部作を計画してて2018年初頭から順にリリースします。アナログプレスしてイギリスやフランスなどヨーロッパでも販売してリリースパーティーも考えています。レーベルはまだ出来たてですが、今後おもしろい活動や展開にしようと思っているので是非チェックしてみてください。
haloez.com
Soundcloud
BGP:
最後にQUNIMUNEにとってビートグランプリとはどういう存在ですか?
QUNIMUNE
音楽を本格的に始めたのが5年前で初めは聴いてくれる人はほとんどいないし音楽仲間もいないしただひたすら曲を作っていた中で、第1回目のvol.0の時に予選通過した時は自分の曲が初めて認められた気がして本当に嬉しかったです。大会当日のファイナルでは、たくさんの日本中のビートメイカー達に出会い、自分の立ち位置やオリジナリティを考え直すきっかけになりました。ビートやインストゥルメンタルにフォーカスしてるイベントは日本ではまだ少ないのでこの大会は貴重だと思います。ビートメイク、トラックメイクしてる人、これからはじめようと思ってる人にはとても良い機会だと思います。
BGP:
ビートグランプリを盛り上げてくれて本当にありがとうございます。
優勝おめでとうございます。
QUNIMUNE
絵画や映像を始めとする様々な美術作品を製作し高い評価を受けた後、2012年より音楽制作を本格化。
現在はトラックメイカー、プロデューサーとして活躍。
自身が生み出す””音””はシンセサイザーや生楽器を駆使しデジタル、アナログな手法が見事に織り交ざった独創的な世界観を広げている。
そのQUNIMUNE独自の世界である、すべての音に魂を宿すことが出来るというコンセプトのもと、自身のレーベルHALOEZを立ち上げた。
2018年初頭から日本、イギリス、フランスを中心にQUNIMUNEが生み出す楽曲をアナログレコードでリリースする。