【実写映像部門】審査員コメント

いいの まさし(Masashi Iino)/ 楽曲審査員

1位 / マザーズホットココア

メロディとビートの絡み合い方が絶妙。聴いてて疲れない音色の軽さ、それでも醸しでちゃう強烈なアーティスト性。

最近どのジャンルのヒット曲にも言えるが、コード・メロディ・編曲を凝りすぎるのはもう時代遅れな気がしていて、彼らはそのことを感覚的に熟知しているんだと思う。

完成度が高いってカッコ悪い。誰もが友達になりたい脱力感。多分どんなジャンルの曲を作ってもマザーズホットココアになるだろなという個性。

プロフィールで「お母さん大好き。」と言っておきながらニートになってお母さんに迷惑かけてそうな絶妙なフレンドリー加減。

これ褒めてますから。

2位 / T-SPICE

こういうタイプの音楽はすごく危険で何かひとつ欠けてるだけでロイヤリティフリーでタダで拾える音楽のようになってしまったり、単なるラウンジミュージックに成り下がってしまうものだけど、そうならない図抜けたセンスに脱帽。

少ない音色と必要最低限のフレーズのひとつひとつを磨き上げて、永遠にループしておきたい麻薬のような心地よさを作り出してしまった。

iPhoneのスピーカーで鳴らしても「音が良い」と思わせてしまう音作り。

隙間の使い方も抜群に上手くて逆に勉強にさせてもらいました。

3位 / DJ 108 & THIAGO KUME

最初映像のクォリティが高すぎて音楽が映像のためのBGMになっていやしないか?と思っているうちにどんどん音楽が追い上げていってクォリティ追い抜いて気付いたら、私はねじ伏せられて床にねじ伏せられてしまっていた。

トラップものって音を埋めて埋めていきがちなんですが、空白を上手く使って緊張感を演出していてニクい音作りです。

今回の映像との融合の趣旨に最もはまっていたもののひとつです。

4位/ryo futaba × kouichi hasegawa
5位/Maria Segawa
6位/RYO79×AS IT IS
7位/REO×RENA
8位/SEIKI×Ryohey
9位/Pier 74
10位/ONLY ABANDONED

Mitsu the Beats (GAGLE /Jazzy Sport) / 楽曲審査員

1位 / ONLY ABANDONED

音の構成や音色、音像全てが素晴らしく、カットやズームの仕方に勢いがあり、全てが上手く融合していて物凄く引き込まれました。

細かい音の配置などセンスを感じました。

これからの作品も楽しみです。

2位 / HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA

自分は映像表現についてあれこれ語れるレベルでは無いので控えますが、この作品はまるで一本の映画を見ているようでした。

音楽は映像ありきの表現として、とても素晴らしかったです。

3位 / DJ 108 & THIAGO KUME

音楽的にはこれが一番かなと思いました。特にミキシングが素晴らしく、何度も聴きなおしました。

映像は音ありきの世界で、見ている内に独特のループ感の中毒性にやられました。

4位/ryo futaba × kouichi hasegawa
5位/マザーズホットココア
6位/Maria Segawa
7位/filmsessions
8位/Pier 74
9位/Ep(dot)
10位/CRESC.×Blind Films

nono.musiq (Nq) / 楽曲審査員

1位 / マザーズホットココア

隙がありそうで無い、ゆるさが本当に素晴らしいです。

曲の構成・音色・SEの音選びと配置・メロディー・ミックス、全てが気持ち良い。

後半のソウルフルなギターのメロディーで顔がクシャッとなりました。

音と映像のバランス感も圧倒的。

個人的にも1番好きで何度も聴きたくなる作品でした。

2位 / HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA

一番自然に作品の世界に入り込んで行きました。

包まれるような空間と奥行き感・楽曲の展開・音色選び・心地の良いピアノのメロディー・ミックスなど、聴いていて全てが素晴らしかったです。

アウトロでパッドシンセが消え小鳥のさえずりが聞こえた時、難解な作品を観た後の気持ちいい疲労感があり、一息ついてから誰かに語りたくなるような余韻が印象的でした。

最高です。

3位 / ryo futaba × kouichi hasegawa

「決意」を感じた作品でした。

焦らせる鼓動のようなキックから息を吸い込んだ音で曲が一変。

「bury a friend」を彷彿とさせるサブベースをきっかけに展開されるドラマチックな構成が面白いなと思いました。

無の使い方が独特でブレイクと水の音とで湯船が波打っているように感じました。

SEの音選びと配置一つ一つに意味があり、楽曲の緻密さ・作品としてのストーリー性が素晴らしかったです。

4位/DJ 108 & THIAGO KUME
5位/SEIKI×Ryohey
6位/ONLY ABANDONED
7位/Ep(dot)
8位/Pier 74
9位/RYO79×AS IT IS
10位/T-SPICE

☆Taku Takahashi (m-flo,block.fm) / 楽曲審査員

1位 / マザーズホットココア

良い力の抜け具合。グランプリなのに、良い意味でふざけてる感じがしました。

ふざけてなかったらごめんなさい。

カメラとかの映像クオリティとかそこまで高くないんですが、ストーリーがみえてくる。

ボーカル遊び力が抜けてて好きです。

できたら最後までずっと意味なくゲラゲラ笑ってたら、もっと攻めてるなぁ、この人って思ったかもしれないです。

2位 / RYO79×AS IT IS

音と映像が目指すところで合致してるところが良いと思いました。

グラフィティを中心とするロケ地選び。

素材を撮ったあとの編集のカメラスピードだったり25から30fpsとかの中でしっかりとキックとスネアにシンクロしてるところ。

物語という物語はないんですが、音という物語を映像化してるところが素敵なと思いました。

3位 / ryo futaba × kouichi hasegawa

トラックのポリリズムなグルーヴ使ってる音色。

センスいいなぁって思いました。

映像もリズミカルな編集(特に黒の使い方とか)がすごく好きです。

花のピントずれ(ブレ)とスネアとハットっぽいロールとあわせてる感じみたいなのがもっといっぱい入ってたら「おー!なんじゃこれー!」ってなってました。

4位/ONLY ABANDONED
5位/DJ 108 & THIAGO KUME
6位/Pier 74
7位/filmsessions
8位/SEIKI×Ryohey
9位/HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA
10位/Maria Segawa

TOMOKO IDA(Track Maker/Producer) / 楽曲審査員

1位 / DJ 108 & THIAGO KUME

音全体の抜け感がすごい良く、低音は本当にYouTubeのリンクから聴いてる?と思うくらい太かったです!

勢いが音から伝わってきます。

また、映像と音の融合も素晴らしかったです。

2位 / ONLY ABANDONED

1曲の中で別の曲がいくつかも入ってるように展開を作るのはすごい大変なことなので、その労力をまず高く評価したいです。

1位にするか迷いましたが、最後の展開に入った時のベースをあと一歩ガツンと出したのを聴いてみたかったです。

そのくらい全体的な完成度が高めだと思いました。

3位 / Maria Segawa

完全に好みになってしまいますが、lowに重きをおいたミックス加減がとても好きです。

海外のビートシーンのリスナーに好まれそうな1曲だなと思いました。

4位/SEIKI×Ryohey
5位/マザーズホットココア
6位/ryo futaba × kouichi hasegawa
7位/HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA
8位/Pier 74
9位/T-SPICE
10位/filmsessions

TOMOYUKI TANAKA(FPM) / 楽曲審査員

1位 / マザーズホットココア

マザコン2人組というキャラ設定から始まり、頓知の効いたサウンドメイキング、映像の緩い楽しさ、脱力しながらも胸に響くボーカルライン、その全てが計算づくなのか、偶然なのかわかりませんが、私は完全にツボでした。

2021年のポップスとして、今後飛躍を期待します。

2位 / HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA

映像作品としては、アイデアも仕上がりも、もうインターナショナルなクオリティで感動しました。

ただ、今コンテストを審査するにあたり、元来の音楽を主体で始まったコンテストだと考えると、今作品は音楽があくまで映像の補佐に回ってしまっているのかなぁ、と感じてしまいました。

自己顕示欲をグッと抑えて裏方に回るのも、プロフェッショナルならではの振る舞いだと理解はしますが。

主役が音楽に渡る瞬間が欲しかったというのが、私の正直な気持ちです。

3位 / filmsessions

始まった瞬間「お、キタキタ」とニンマリしたのですが、あっという間に終わってしまいました。

敢えて1分少しの短さにしたのでしょうが、これをイントロとして、せめて3分くらいの曲として仕上げた作品を聴いてみたいのは、きっと私だけではないはず。

4位/DJ 108 & THIAGO KUME
5位/Pier 74
6位/ONLY ABANDONED
7位/RYO79×AS IT IS
8位/REO×RENA
9位/T-SPICE
10位/Maria Segawa

Watusi(COLDFEET) / 楽曲審査員

1位 / Maria Segawa

素晴らしいの一言。

間違ったくらいKickがデカくてSnareが平坦?ってもちろん一瞬思ったんですけど、そのSnareの音色やずらし方全てが歌っていて、独特の異空間を作り出してます。

とにかくBeatsにまとわりつくシーケンスもSynthもバランスとタイミングがユニーク、かつ繊細で興奮してきます。

展開も微妙に間違ってる様なバランスやアウトオブハーモニー風味なサウンドが入り組み、こんな短い時間にラストに全てが集まっていく興奮感の演出も上手いです。

とにかくユニーク、それがなければこうしたアンダーグラウンドの戦いなんて意味が無い!改めてそう感じさせてくれた音楽です。

2位 / DJ 108 & THIAGO KUME

Warp Soundの現代版みたいな感じから始まって次第に本格的なDrum ‘N’ Bassになっていく、っていうかこれぞBeat Grand Prix!ってトラックですね、素直に好きです。

Timeless辺りのGoldleを思い出したけどPeshayとかからEd Rushまで思い出させてくれたほど現場分かってる度高いDrum ‘N’ Bassでした。

そうしたOld Sccoolが身体の血肉になって作ってる新しい感じが凄く良くて何度も聞きました。

冒頭のL/RのFilter Beats的なヤツの誘い方、アグレッシブに始まってからの隙間加減、待ってましたなピアノリフなど短い中の構成も満点、Mixも最高!あとはこれ7分にして!

3位 / マザーズホットココア

いやぁ、トラック/音色選びやサウンド作りもフロウも最高!

個人的にはも少しKick出せたかなって思ったくらいでこの曲がマスタリング、音楽的なマキシマイズ加減含め最強だったかと思います。

各レンジとも欲しいところがよく出ていて、奥行きを残しながら良いレベルに仕上げていました。

歌い方もギターの音色やフレーズ(トイレのGuitar Synthみたいなやつも最高)選びもこの二人とっても日本人っぽくなくて、でもすっごくナチュラルで素敵でした。

4位/ryo futaba × kouichi hasegawa
5位/filmsessions
6位/CRESC. kakeru Blind Films
7位/T-SPICE
8位/Pier 74
9位/ONLY ABANDONED
10位/HISASHI AOCHI × KEITA KUSHIMA

村尾 輝忠 (Terutada Murao) / 映像審査員

1位 / ONLY ABANDONED

iPhoneによる映像制作が原点というのも納得の、新しい世代の感性が瑞々しかったです。

映像とサウンドが有機的に同期し、隅々まで丁寧に作られているので、最後まで集中して見れました。

各シーンを象徴する色やシルエットが、音楽の要素としても、しっかり機能しているのも素晴らしいです。

カラーグレーディングのトーンも、スマホのフィルターワーク以降の現代ならではの映像という印象です。

欲を言えば後半部分、ビートが入ってくる点滅後の最初のカットに、さらなるインパクトが欲しかったです。

2位 / HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA

サウンドと絵のクオリティが群を抜いていて、一気に引き込まれました。

瞳孔に焦点を当てたサイケデリックな表現は、「2001年宇宙の旅」の名シーンを喚起させますが、本作品はより新しい表現として、その先に向かっている感じがします。

瞳に映し出されるものは何なのか、見る人のイマジネーションを次々に呼び起こす、素敵な作品でした。

3位 / Maria Segawa

私小説のように、創作に至る日常そのものを作品にしていることが、まず素晴らしいです。

作者の音楽がどこから、どのようにして生まれていくのが伝わり、階段をかけあがるシーンが心に残ります。

映像的には全体的に標準レンズのサイズ感の積み重ねが多かったので、ワイドレンズで空間の広がりを出した映像も差し込み構成すると、より良かったのでは?と思います。

4位/filmsessions
5位/ryo futaba × kouichi hasegawa
6位/DJ 108 & THIAGO KUME
7位/SEIKI×Ryohey
8位/マザーズホットココア
9位/RYO79×AS IT IS
10位/REO×RENA

奥本 宏幸(Hiroyuki Okumoto) / 映像審査員

1位 / マザーズホットココア

彼らから放たれる人間力(?)がとても心地よくてなぜか引き付けられる作品でした。2人とも絵になります。

日常で繰り広げられる奇行、普段いたら絶対近づきたくないけど、見てる分には楽しくて、心のどこかではこんな風に自由になりたいなという、疲れた現代人の心に刺さる気がします。

技術的には編集の緩急があって映像でもグルーヴを刻んでいるのでとっても見やすいです。

前半で出てくる海の映像は狭い世界から一気に解放されてぐっと心をわしづかみされました。

場面転換のギミックも効いて飽きさせない努力が見られます。

一つだけ、あったらいいなと思ったのは駐車場で柱に上ってるシーンなど奇行シーンでの引き画が欲しかったです。

横を買い物する家族が通ってるみたいな。そうすることで彼らの非日常具合が対比でより際立ってより狂気の映像になる気がします。

2位 / DJ 108 & THIAGO KUME

とにかく細かく音を拾ってよく映像を合わせたなとおもいました。大変だっただろうなと。

見ていて気持ちがよかったです。ビートグランプリという名にふさわしい作品かなと。

白黒で情報をそぎ落とした映像に白一色のグラフィックというストイックなイメージが楽曲にあっていると思いました。

実写部分の「めまいショット」を音に合わせるのどうやってるのか個人的に聞きたいです。

3位 / SEIKI×Ryohey

コロナ禍の暗い世の中を相反する明るい映像と楽曲で表現していてなんだか元気がもらえる作品だなと思いました。

ジンバルで撮ったドリーショットのつなぎ方が秀逸です。

何が心地いいんだろうと思ってよく見てたら進行方向と被写体を入れる構図をうまく組み合わせて視線誘導による映像のリズムと音があっていました。

ビートに合わせてカットするだけではない技巧派編集のセンスすごいです。

カラコレもグローを強めた現実なのか夢なのかわからない感じの演出もよかったです。

4位/RYO79×AS IT IS
5位/ONLY ABANDONED
6位/HISASHI AOCHI×KEITA KUSHIMA
7位/Maria Segawa
8位/Ep(dot)
9位/T-SPICE
10位/Pier 74

Shintaro Kunieda(Pitch Odd Mansion / ITEMA) / 映像審査員

1位 / ryo futaba × kouichi hasegawa

クリアで空間的な音使いと水や人の動きに着目した映像の見せ方が絶妙に調和しています。特に最初のつかみから00:59までの演出が良いです。

個人的にはクラシックなクレイアニメの独特な音使いを彷彿とさせるSEでした。

楽曲構成はシンプルですがしっかりと差し引きができているんじゃないかと思います。

映像も楽曲も互いに絵やイメージが共有できてたんじゃ無いかと。

2位 / ONLY ABANDONED

広大な絵を見せるって簡単じゃ無いんですがいい感じのロケ地も相まって音源の世界観を映像がより広げてくれています。

最後の展開への流れが長いような気もしたのですが、良い意味で裏切るまでのためとしてはアリな気がします。

映像も小技的な編集が鏤められていますね。広大な世界観から少し窮屈な都会や部屋なども楽曲と相まって良いです。

3位 / DJ 108 & THIAGO KUME

太く重みのある重圧なサウンドにビートのプログラミングの楽しさが垣間見れました。

映像もシンプルなエフェクトながら曲と調和していて見応えがありました。

4位/マザーズホットココア
5位/Maria Segawa
6位/SEIKI×Ryohey
7位/Pier 74
8位/REO×RENA
9位/CRESC.×Blind Films
10位/HISASHI AOCHI × KEITA KUSHIMA