【バーチャル映像部門】審査員コメント

いいの まさし(Masashi Iino)/ 楽曲審査員

1位 / moistpeace

今回はオンラインですが、平常のビートグランプリのようにクラブでターンテーブル形式でこの音楽流れ始めたらぶっ飛ぶだろうなあ。

映像自体はあくまで楽曲を引き立てるためのものでしかないが、これで必要十分だと思わせる驚くべき楽曲のクォリティとオリジナリティ。

奥行きのあるミックスも素晴らしいし低音の響きもイカしてる。立体音響できいてみたい。

こういう変態で女の子から決してモテないジャンルなのにポップ感を感じられるのは稀有な才能だと思います。

アーティスト本人も変態でポップでモテない人物であってほしいと切に願います。

2位 / DAWNIN

【映像との距離感】て皆さん意識していますか?

合いすぎれば「そりゃそうだよね」ってなんの深みもなくなるし。合わなすぎれば意味が分からなくなる。

映像と合いすぎてもいけないし、離れすぎてもいけない、その距離感に作家性や深みが出てフックになる。

映画の世界でトレント・レズナーは重宝されたり、RADWIMPSがやっていたりっていうのは、もう従来のベタな映像音楽が皆飽きてきていてちょっとした違和感を欲しがっているんだと思う。

適度な違和感があることで見る側の妄想を入れられる隙間が生じてフックになる。

音色やミックスはまだまだ改善点はあるが、表現しようとしていることが明確で映像との距離感が抜群。

私の立場からは高評価。

シンプルな映像なのに1本の映画を観ているようで素敵でした。

3位 / The Soil Shop Record

同じ素材を使って、同じように音を並べても、POPセンスがある人が作ると普通の人とは違って不思議な魔法がかかってキャッチーになる、そんな才能を彼は持っていると思いました。

ミックスの甘ささえ武器になってる。今流行のローファイ・ヒップホップな感じだけど、素直なセンスが素直に心に響きました。

さほど作り込まれていない甘酸っぱい青春感をかんじる映像も「そうそうこれでいいんだよ」というかんじ。

やっぱりあくまで「楽曲を引き立てる映像」という立ち位置に立ち、観る人の妄想が付け入る隙を与えてくれる。

音楽も映像も観る人の主観を広げてくれる【空白】を作ることは今の時代のひとつの要素だと思います。

誰でもクォリティ高いものを作れてしまうほど機材は安価で発達しているので、【空白】や【隙】、さらには【未完成】であることは今の時代を乗りこなすキーだと思っています。

誰でも手の届きそうな作品、でもちょっと届かない。

それがフレンドリーで心に響く、という点が好き。モテそう。

4位/壺浜商店
5位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
6位/S2
7位/Shin Andrew
8位/Ness(Eschakra)
9位/Bitkids
10位/NEFERET STUDIO

Mitsu the Beats (GAGLE /Jazzy Sport) / 楽曲審査員

1位 / Ness(Eschakra)

音も映像もコラージュの世界観が本当に素晴らしく、僕が意見をいうレベルではありません。

頭のなかどうなってるんだろう?と思った次第です。

みなさん是非見て下さい。

以上!

2位 / moistpeace

映像と音楽のマッチ具合が素晴らしい。

音に関しては奥行きのあるミックスで没入感を後押ししてくれます。

音数多い場面でも音像がクリアで飽和感が無く、かなり好印象でした。

3位 / Bitkids

クラブで大きいビジョンで流しながら踊ってる姿が目に浮かびます。

映像はVJ的な要素が強いと思いますが、音源との相性が良くプロフェッショナルな匂いがします。

音に関しても音数多い場面でも聴きやすく、音像もクリアで好きでした。

4位/壺浜商店
5位/S2
6位/Shin Andrew
7位/SUNNOVA & Brittany Kurtinec
8位/TR900
9位/Energeia
10位/DAWNIN

nono.musiq (Nq) / 楽曲審査員

1位 / Bitkids

出だしの一音と映像ですぐに心を掴まれました。

シーンごとにステージが切り替わって行くような展開の仕方。

疾走感のあるビルドアップから絶妙に不安にさせるメロディーなど聴いていて飽きさせない作りにワクワクしました。

最後の2拍目でプツッと終わらせる締め方に余韻があり印象的でした。

2位 / S2

空間の作り方が素敵でした。

浮遊感があるウワモノに重厚感のある後ノリなビートとベースでしっかり支えていて締まりのあるバランス感が素晴らしかったです。

3位 / moistpeace

緻密なビートで独特なグルーブ感があり心地良かったです。

音作り・パンの使い方も素晴らしく、ここで来るかと驚かされる展開の仕方もめちゃくちゃカッコ良かったです。

4位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
5位/DAWNIN
6位/Ness(Eschakra)
7位/TR900
8位/The Soil Shop Record
9位/VELONICAL MODE
10位/壺浜商店

☆Taku Takahashi (m-flo,block.fm) / 楽曲審査員

1位 / Ness(Eschakra)

とにもかくにも、映像が最高すぎて。僕のミュージックビデオ作ってほしいです。

2位 / Kno-neno

モーキャプ使ってる(おそらく)だけなのに、笑えるところがいいい。

エフェクトとかもすっごいことしてないとおもうんですが、ループ感をわかられてる。

良さって技術だけじゃないんよっていうところの素晴らしい事例と痛感させられました(技術が高い方でしたらすんません。汗)。

最後フェードアウトすると思わせてしないとことも最高でした。

3位 / 壺浜商店

オールドスクールなビート感とそれと違う感じの音を混ぜてる感じが好きなのと、映像のストーリーテリングが楽しかったです。

そのあともどうなるのかが気になる感じ。

ストーリーがすすむにつれて、ドラムも倍速になったり工夫がすごくなされていて。

最後のリピートには何かの意味があるか、って考察したくなっちゃいました。

4位/The Soil Shop Record
5位/VELONICAL MODE
6位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
7位/TR900
8位/moistpeace
9位/Bitkids
10位/NEFERET STUDIO

TOMOKO IDA(Track Maker/Producer) / 楽曲審査員

1位 / Kno-neno

メインの上ネタのブラス音ループがシンプルなのにもかかわらずとても惹かれました。

その上ネタが本当にちょっとずつ表情を変える事で全体に動きがついて凄い巧妙なやり方だなと思います。

余分なものがない代わりに素材一つ一つがしっかり聴こえて、またミックスバランスも軽さと重さをバランスよく1曲の中で表現されていると思いました。

また、映像もシンプルで、音をサンプリングしたかのように映像の動きもサンプリングしているようで、音との融合も素晴らしいです。

単調なループで勝負できるのは自信の現れだと思いますし、なかなかできない事だと思います。

2位 / S2

低音域の出し方がしっかりしていたので、それだけでかなりの高評価をしたいです。

ずっしりくる感じがとても好みでした。

シンセ音メインのこのビートに映像も合っていて2位にさせていただきました。

3位 / Ness(Eschakra)

音だけで聴いた時と、映像を見ながら音を聴いた時で、良い意味で一番イメージが違った作品でした。

映像に驚きました。いつか一緒に仕事したいくらいです笑

4位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
5位/壺浜商店
6位/Energeia
7位/Bitkids
8位/Shin Andrew
9位/moistpeace
10位/VELONICAL MODE

TOMOYUKI TANAKA(FPM) / 楽曲審査員

同率3位 / moistpeace

先ずは、同点1位ではなく、同点3位にさせていただいたご無礼をお許しください。

moistpeaceさんは昨年もチル/アンビエント部門で3位の入賞経験もあり、ヘッドホンの回路エンジニアをされているということで、全編難易度の高いプログラミングのみで仕上げられた、サウンドのミックス〜マスタリングの揺るぎないテクニック、そして、映像〜グラフィックの完成度と整合性は群を抜いていました。

即戦力クオリティーですね。

ただ、私のようにへそ曲がりの人間は、何らかの意外性〜違和感みたいなものを作品の中に期待してしまいます。

高クオリティ故の既視感(既聴感)を感じてしまいました。

同率3位 / Ness(Eschakra)

先ずは、同点1位ではなく、同点3位にさせていただいたご無礼をお許しください。

サウンドメイキングのみならず、CGも独学で習得とプロフィールにありますが、古典的な手法を用いながらも、細部にまで行き届くセンスとエディットやSE使いで、映像作品として非常に楽しめました。

敢えてのチョイスだとは理解しますが、途中、あの有名なブレイクビーツを早回しする高速ドラムンベースのパートを良しとするか否かで、評価が分かれるかもしれませんね。

とはいえ、全体的には摩訶不思議なエネルギーに満ちた作品だと僕は思いました。

同率3位 / SUNNOVA & Brittany Kurtinecz

先ずは、同点1位ではなく、同点3位にさせていただいたご無礼をお許しください。

プロとして、クリエイターとして実績のあるお2人のユニットということで、サウンド、映像、両方に圧倒的なクオリティと安定感を感じました。

ただ、moistpeaceさんにも申し上げたのと同じで、高クオリティ過ぎるが故の既視感(既聴感)が私は気になりました。

何らかのハプニングや違和感を作品のどこかに忍ばせるような、言わば「毒」を盛る作業を、プロフェッショナルなお2人には期待してしまいます。

4位/VELONICAL MODE
5位/壺浜商店
6位/Energeia
同率7位/S2
同率7位/Shin Andrew
同率7位/TR900
10位/Kno-neno

Watusi(COLDFEET) / 楽曲審査員

1位 / VELONICAL MODE

イタロディスコのようなユニークな作品。そしてBeat Grand Prixに完全歌モノでチャレンジのがまた驚きでした。

まずはなんだかカセットに落としたような独特の質感が、音楽性とも映像にも合っていて好きな感じです。

個人的に歌にたまに見え隠れするパンクなムードももう少し出せたら嬉しかったかな。

Lo-Fiなヴォーカル、インタールードで出てくるノイズっぽいSynth、最高。またメロや歌声ともマッチした歌詞の響かせ方も良かった。

サビで全体が大きくなってカセット歪んじゃった感じがなんとも好きでした。今はこういう失敗ないから伝わらないよね。

唯一の5分越えの作品、これ真面目に作ろうとしたのか、あちこち良い加減にぶっとんでるのかも分かりかねる感じがさらに良いです。

個人的優勝作品!

2位 / SUNNOVA & Brittany Kurtinecz

こちらもかなり手慣れたトラックメーカーの作品だと感じました。

それぞれの音色の選びとシーケンスのパンニング、Voiceのディレイ、いつくものKickの音色とパターン、それら全てが思いつきでない豊潤さで仕立てられています。

それくらい美味い!って感じたトラックです。

逆にLo-Fiっぽい質感も良かったけど周波数の上下はまた使える、というかうまく聞かせられるかなと思いました。

もっとバランスを壊すくらいの狂ったナニカがあっても良かったかも。

映像とのマッチングも凄く好きでした!

3位 / Ness (Eschankra)

個人的にはキタ!って感じのサウンドです。また映像的でもありました。

全体的におぢさん泣かせのトラックなんですが、古さは無かった。

ナレーションの機械っぽさ、画面の訳の多言語なども相まってどこでも無いココの未来、みたいな空気を作れていて思いっきり引き込まれました。

ただしこれくらいナレーションとSE音が入ってくると曲は完全にBGMになってしまうので、その辺りをどう思うかで評価基準が変わる作品ですね。

後半のDrum ‘N’ Bassのところは是非Bassも入れて欲しかったなぁ。

無いと全体簡単にカッコ良くなるんだけど、やっぱり最後まで無いと逃げられた気持ち。

4位/The Soil Shop Record
5位/moistpeace
6位/TR900
7位/S2
8位/Energeia
9位/Shin Andrew
10位/DAWNIN

François Serre(Courant 3D) / 映像審査員

1位 / The Soil Shop Record

Best “Vbeat” Style for future

2位 / TR900

Innovation & Synchronicity

3位 / Ness(Eschakra)

best Vidéo Clip Style

4位/moistpeace
5位/壺浜商店
6位/NEFERET STUDIO
7位/VELONICAL MODE
8位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
9位/S2
10位/Kno-neno

砂守 岳央(Taketeru Sunamori) / 映像審査員

1位 / Ness(Eschakra)

強烈な世界観、コンポジットの完成度、コラージュのセンス、楽曲との合わせ方。のけぞりました。

『1984』『未来世紀ブラジル』的なディストピアな世界観、現代思想の文脈を感じさせる「動物化」設定、ヌーヴェルヴァーグ感のあるコラージュ映像。

こういう作品を想定していなかったので、いい意味で裏切られました。

フランス語と繁体字の字幕というチョイス(何故……?)にも深読みをさせてくれる感覚が素晴らしいです。

かなりレベルの高い作品が揃っていたのですが「作品」としての完成度と独自性が圧倒的でした。

2位 / 壺浜商店

妙に愛らしいような、そうでもないようなSDキャラと、ゆるいようで作り込まれた街並。

この手のカットアウトアニメーションは見た目以上にかなり手間がかかるので、このボリュームで仕上げてきたことにまずは脱帽です。

わかりやすく物語があり、世界に入りやすかったです。

アニメーションの絵作りがシンプルなので、音としてはもっと盛っても良かったのではないかと思います。

例えば、爆発シーンだけわかりやすくSEが入るのですが、ここ以外に効果音的な手法があっても良かったかと思いました。

それが楽曲の要素となって音楽的に鳴ったりするとなおかっこよかったのではないかと思いました。

3位 / SUNNOVA & Brittany Kurtinecz

音と映像の合わせ方がとにかく気持ちがいいです。

映像自体はちょっと気持ち悪いので(いい意味です)、気持ち良くなるべきなのか、気持ち悪くなるべきなのか、その混乱にも心地良さがあるような作品でした。

映像の動きを音楽の拍に同期させるのは非常に手間がかかる作業で、それをかなり細かいところまで突き詰めているところで気持ち良さが生まれています。素晴らしいです。

「Poser」的な人体モデルが明確に主役となっているおかげで作品としての見やすさ、入りやすさが担保されています。

他方で、素材としては少々擦られてしまっている印象もあり、オリジナリティという点で少し弱くなってしまったかと思いました。

4位/The Soil Shop Record
5位/S2
6位/VELONICAL MODE
7位/NEFERET STUDIO
8位/TR900
9位/Shin Andrew
10位/Kno-neno

鈴木 光人(スクウェア・エニックス) / 映像審査員

1位 / The Soil Shop Record

映像と音楽のバランスが崩れると成立しないMVの方向性ですが、ビート感とミニマルな映像とのマッチングが上手くまとめられています。

音楽視点ではミックスの高域調整を改善すると聴きやすくなると思います。

気持ち良さそうにウトウトしてる女の子に目がいってしまうので、僕だったらBPMをもう少しだけ落とすかな。

時代の空気を読んだアンテナ感覚も好感が持てます。サンプリングセンスと尺も絶妙。

2位 / Ness(Eschakra)

映像とナレーション、効果音、音楽とのバランス感覚が良く、それぞれの役割が明確です。

絵的には割とクセが強めではありますが、世界観という意味では個性全開で完成しているので、今後もじゃんじゃん作ってほしいです。

3位 / moistpeace

おそらく映像と音楽共にプログラミングされてると思うのですが、偶発的に発生するグリッチと映像とのシンクが心地良いです。

方向性的にはよくある感じなのですが、B2Fあたりの暗黒空間で、身を委ねる感じで何も考えずに視覚と聴覚で感じるのがマル。

音楽的にはリバーブの質にもう少しこだわると立体感が増すかと思います。

Hi-Fiにこだわる必要はなく、あえてLo-Fiを組み合わせ対比を作るのも面白いかも。

4位/壺浜商店
5位/SUNNOVA & Brittany Kurtinecz
6位/Bitkids
7位/S2
8位/NEFERET STUDIO
9位/TR900
10位/VELONICAL MODE